2007年2月21日水曜日

番外編:なぜICT導入なのか

 ここでいう「ICT」とは情報通信技術、ついこの間まで「IT」と呼ばれていたもの。平たく言うとパソコンやインターネットを取り入れましょうということです。

 最低限、インターネットのホームページを見ることさえ出来れば、さらにはメールも出来れば、孤独の被害者とご家族に情報を与えることが出来ます。

 この何年間か交通事故による重度後遺障害、とくに高次脳機能障害についてはインターネット上にあふれるほど情報が増えてきました。これは自賠責に高次脳の部会を設けたことや、政府が高次脳機能障害モデル事業をはじめたことがきっかけになり、被害者らが通常に耳にするようになった成果でしょう。

 ところで、最近インターネットばかりの情報源に頼っていましたら、この3日間、救急医療現場での延命措置の是非、老人ホームで若者障害者への非人権的問題、障害者作業所の賃金問題等、新聞紙面で大きく取り上げられ、ネットに配信されにくい解説部分に重要な記事が載っていたりすることがありました。朝食の数分間は、インターネットに配信されないような細かい記事に目を通すように切り替えることにします。

2007年2月19日月曜日

(3) 被害回復のための休暇制度導入の是非に関する検討

(3) 被害回復のための休暇制度導入の是非に関する検討から

 確かに交通事故被害にあって入院し休暇を余儀なくされる状況になってしまった場合、有給休暇は長い人で最高40日です。脳挫傷や脊髄損傷では短い期間です。自動車事故被害による重度障害の場合は、リハビリや就労訓練は数年スパンで考えないといけない問題です。残念ですが、ほとんどの会社は、そんなに気が長くありません。

 休職・無給状態でもよいから、せめて本人のために解雇せず在籍だけはさせてあげたい。そのような思いをされた方も多いと思います。

 事故被害にあうと、まずは有給休暇の消化、欠勤、休職、そして自動的に解雇となってしまいます。つまり、怪我の程度がある一定以上重くなると、会社に戻れない仕組みになっているともいえます。

 「再チャレンジ」をキーワードにいろいろな政策が掲げられていますので、この就労回復の問題についても、「被害者の癒しの期間」を経た後に再チャレンジできる仕組みが出来上がるといいですね。

2007年2月15日木曜日

番外編:交通事故被害による重度障害者への周辺の理解

被害者にたいして、家族・近所・職場が障害を十分に理解し、接すること。言葉にすれば簡単ですが、 継続してバランスよく接するには障害者・周辺ともに「慣れ」が必要です。

また、障害者を介護する家族に対して、親戚・近所・職場が状況を理解することも非常に重要です。

2007年2月13日火曜日

4 雇用の安定(基本法第17条関係)

(1) 事業主等の理解の増進
本人は大きな怪我をしてしまって職場復帰できず、退院することができて会社にいける状態になっても、物忘れ等脳障害特有の症状で職場にいられず、けっかとして自主退職せざるを得ない状況があります。
会社や学校では、まず被害事故にあっていること・・・身体や心に深い傷を負っている状態を理解していただき、さらに大きな怪我の場合は後遺障害があり日常生活や業務遂行には周辺の支援が必要になることを理解していただきたいと思います。特に高次脳機能障害は、人によって症状がさまざまですので、その人そのときに応じた支援が必要であることはいうまでもなく、現場の体験を活かしてよりよい環境を目指していかなければなりません。

2007年2月8日木曜日

損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度

基本計画において、「1~3年以内を目途に検討の結論を得て、施策を実施する」とされたもの
から、(10) 損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用する制度を新たに導入する方向での検討及び施策の実施について。

 たいていの場合、加害者は自動車保険に入っており、保険会社と闘うことになりますが、不運にも相手は無保険、被害者側にも人身傷害や無保険車傷害の保険に入っていない場合、自賠責や政府保障制度の保障で終わってしまうことがあります。
 車を持たないことは自然に優しい生き方だと思うのですが、自動車事故の観点から見ると、いざのときに賠償請求権が限られてしまうという、社会的な格差が生まれています。自動車保険各社さんで、なんらかの救済策を作って欲しいものです。

 話はそれましたが、付帯私訴や加害者の資産没収、違法収益の没収を被害者へ還元させる制度には、強い関心を持っています。

 「損害賠償請求に関し刑事手続の成果を利用することができる制度の導入」については、被害者側が有利に展開した刑事裁判の場合はその証拠を大いに利用することが出来ますが、反面、加害者有利の刑事裁判となった場合は、加害者側が有力な証拠として提示する場合が考えられ、「加害者・被害者」のあり方、過失割合の考え方にまで影響を及ぼしてくるのではないかと考えています。平成18年2月3月にこのようなヒアリングがあり、内容が公開されていますが、実際に制度を運用した場合にどのような問題が発生するかの議論が徹底されていないように思いました。

2007年2月7日水曜日

保険金支払いの適正化等

保険会社の払い渋りがクローズアップされて、金融庁では調査監督の強化、また社会問題化しているところではあります。

しかし、そこはひとつ、自分自身の問題として、冷静に構えてください。
相手の自賠責保険会社はどこか、任意保険会社はどこか、どのような特約に入っているのか(相手の保険証券コピーがあれば文句ないでしょう)
保険会社の中には、まだごく一部ですが、相手が歩行者・自転車等に加害事故を起してしまった場合に、保険会社の基準で100%支払いをする(人身傷害保険の逆版ともいえます)保険商品を備えている会社もあります。保険会社が自動的にその保険を支払ってくれるほど丁寧ではありませんので、交渉に至る前の情報交換の際に、いかに感情的にならず相手の情報を引き出すか、このへんも大事になってきます。

 また、ご自身の保険でも、無保険車傷害や人身傷害、搭乗者傷害、またおまけにつけた傷害保険など、いざの時につかえる特約がついていることがあります。

 事故が起きてから解決まで数年を要することは普通ですので、仮に100%の被害事故であってもそのときの保険証券やパンフ・約款の保存は忘れないようにしてください。

 保険会社にとっては、保険掛け金は収入、支払保険料は支出です。会社経営のことを考えれば、過剰販売と払い渋りは、あって不思議ではない現象かもしれません。本質的な経営の是正までには、ここ先しばらく時間がかかるでしょう。

2007年2月6日火曜日

刑事和解等の制度の周知

 交通事故を除くほとんどの犯罪被害の場合、加害者に損害を賠償する能力がないことが多いです。また、刑事裁判後に加害者が逃亡したり、被害者側が新たに民事訴訟をおこす負担を考慮して、刑事和解という制度が生まれたそうです。

 交通事故に限って言えば、自賠責保険や政府保障、自動車保険(相手方、自分の無保険)など、経済的には救済の可能性があるので、刑事和解についてはあまり考える必要はないと思います。

 ただし、刑事裁判の流れの中で、被害者本人の損害のみならず、家族までもが多大な損害を被っていることを明らかにして、今後起こるであろう民事裁判への布石は打つ効果はあるのかなと思います。

 もしかしたら近い将来、刑事裁判中に刑事和解を持ちかける弁護士(損保側)が登場してくるかもしれません。

2007年2月2日金曜日

損害賠償請求制度に関する情報提供の充実

《基本計画において、「速やかに実施する」とされたもの》 から、(5) 損害賠償請求制度に関する情報提供の充実 について

 平成18年12月7日、警察庁が被害者の手引きを改訂して、必要な情報が被害者の手元に届くようにすると報道発表がありました。
 被害にあったときに、まず出会う公的機関は警察ですから、警察官の方が各種被害者団体のプロフィール記載がある手引書を手渡してくれると、行き場がなく困っている被害者ご家族には有効に働くと思います。
 インターネットができれば、なんとか支援団体にたどり着くことは可能ですが、地方にお住まいやパソコンが使えないなどの情報弱者の方優先に、情報提供活動がされるものと期待しています。

 ちなみに損害賠償ですが、支援団体の方針や、個々の弁護士さんの素質によって、賠償額や認定内容によって大きく異なります。

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